個人情報保護法の案内(同意編)

  • 個人情報・プライバシー保護

弁護士: 谷 貴洋

第1 はじめに

 信条や病歴等の一定のセンシティブな情報(要配慮個人情報)を取得する場合や、個人データを第三者に提供する場合には、個人情報保護法上、原則として、あらかじめ「本人の同意」を得る必要があると定められています。本コラムでは、同意を得る方法などについて解説を行います。

 

第2 同意を得る方法

 同意を得る方法としては、書面に限られておらず、例えば、メールや、確認欄へのチェック、口頭でも差し支えないとされています(個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)(令和4年9月一部改正)2-26)。ただし、後日に無用なトラブルが発生することを防止するためにも、書面等の客観的な方法によって同意を得ることが望ましいと考えます。

 メールでの同意も有効ですが、ただし、例えば、「1週間以内にご回答をいただけない場合には、同意いただいたものとみなします」といったメールを送信して、1週間以内に同意がなかったことのみをもって、同意を得たものとはいえないとされていますので注意を要します(「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」 に関するQ&A(令和5年3月31日)1-60参照)。

 

第3 本人の判断能力

 

1 子ども

 本人の判断能力との関係では、一般的には12歳から15歳までの年齢以下の子どもについては、法定代理人等(親権を有する父母)から同意を得る必要があるとされています(前掲Q&A1-62参照)。ただ、個々人の判断能力は当然異なりますし、また、対象となる個人情報の項目の難易も考慮する必要がありますので、形式的に「15歳を超えるため本人からの同意で問題ない」と考えるのはリスクがあり、実際には未成年者と法定代理人の両方から同意を得ることが安全と言えます。

 

2 十分な判断能力のない高齢者等

 また、重度の認知症の高齢者など、本人に十分な判断能力がない場合に、本人の病歴等の健康状態(要配慮個人情報)を取得する場合には、成年後見人等の法定代理人から同意を得る必要があります。他方、成年後見人等の法定代理人が選任されていない場合には、本人の健康状態を踏まえて、早期に福祉サービスを提供する必要があると考えられる場合には、例外的に、「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき」(個人情報保護法20条2項2号)に該当すると解されますので、本人の同意なく、本人の親族等から要配慮個人情報を取得することができるとされています(QA1-36)。

 

第3 おわりに 

 本コラムでは、個人情報保護法について、「本人の同意」に関する一般的な事項を解説しました。