委託業務の内容について(業務委託契約書)
- IT関連契約書リーガルチェック
弁護士: 松井立平
第1 はじめに
ソフトウェア開発委託契約等の委託業務の内容を規定する条項の注意すべき条項などについて解説します。
第2 委託業務の内容を規定する条項とは
ソフトウェア開発委託契約等においては、開発の対象となるソフトウェアの内容について規定することとなります。
例えば、
1 委託者は、本条第2項記載の業務及びこれに附随・関連する業務(以下、「本件業務」という。)を、受託者に発注し、受託者は、これを受注するものとする。
2 本件業務は、次の各号に定めるものとし、受託者は、委託者から発注を受けた本件業務を双方が別途協議して定めた納期までに完成させる。
(1) ■■プログラムの作成
(2) その他乙が指定し、甲が受諾する業務
などといった条項が設けられることが多く見受けられます。
以下では、上記のような委託業務の内容を規定する条項についての注意点などについてご説明いたします。
第3 注意点
ここで注意すべきソフトウェア開発を受注する場合であっても、下請け先などに委託する場合であっても、開発の対象となるソフトウェアの内容については、できるだけ明確に規定しておく必要があるということです。
明確に規定されていない場合、委託者側(開発を行う側)の場合は予定していたよりも過大な業務を行う必要があるのに、代金は変わらないといった事態が発生したり、受託者側(開発を委託する側)の場合は、当初予定していた仕事をきちんと行ってもらえないといった事態が発生する可能性があります。
契約段階で、ソフトウェアの内容などが固まっている場合は、要件定義書や工程表などの詳細な文書を別紙として契約書本体に添付し、次のような条項を定めることにより、上記のリスクをある程度防ぐことが可能です。
1 委託者は、本条第2項記載の業務を、受託者に発注し、受託者は、これを受注するものとする。
2 本件業務は、次の各号に定めるものとする。受託者は、次の各号に定める業務以外の業務を行う義務を負わない。
(1) 別紙に定めるソフトウェアの開発
(2) その他乙が指定し、甲が受諾する業務
ソフトウェアの開発にあたっては、契約段階でソフトウェアの内容(要件定義など)が定まっていない場合が多く、そのような場合は、上記の定め方をとることはできません。契約段階で、ソフトウェアの内容が定まっていない場合にどのようにすればリスクを回避することができるかについては、別コラムで解説いたします。
第4 終わりに
委託業務の内容の条項は、ソフトウェア開発委託契約などにおいて、非常に重要な条項です。定め方などに不安がある方は、弁護士にご相談ください。