損害賠償条項について(業務委託契約書)
- IT関連契約書リーガルチェック
弁護士: 松井立平
第1 はじめに
受託者側として、ソフトウェアの開発委託契約を締結する場合、損害賠償条項においては、損害賠償の範囲はなるべく限定・制限することが望ましいところです。特に上限規定がない場合、軽過失であっても、莫大な損害賠償義務を負うリスクがあるため、可能な限り、損害賠償の範囲は限定・制限する条項を設けるべきと考えられます。
以下では、賠償すべき損害の内容を限定し、損害賠償の上限を設ける場合の条項などを解説いたします。
第2 損害の内容に関する条項
「委託者又は受託者は、本契約に関して相手方に損害を与えた場合、これを賠償する責任を負う。」といった損害賠償条項については、「委託者又は受託者は、本契約に関して相手方に損害を与えた場合、現実に発生した損害(逸失利益を含まない)のみ賠償する責任を負う」などと修正することが考えられます。
第3 損害賠償の上限条項
上記の賠償すべき損害の内容を限定する手法もありうるところですが、最もリスクヘッジをする意味で効果的であるのは、損害賠償の上限条項を設けることです。ただし、このような条項を設けていた場合であっても、故意又は重過失による損害の場合は、当該上限条項が無効と判断される裁判例もございますので、ご留意いただければと存じます。
「委託者又は受託者は、本契約に関して相手方に損害を与えた場合、現実に発生した損害(逸失利益を含まない)のみ賠償する責任を負う。ただし、本契約に関する損害賠償責任の総額は、瑕疵担保責任、不法行為責任及び債務不履行責任その他名目の如何を問わず、本件委託代金の金額を上限とする。」などと修正することが考えられます。
第4 終わりに
本コラムでは、損害賠償条項に関して、解説させていただきました。損害賠償リスクを低くするため、契約書の作成・リーガルチェックについては、ぜひ弁護士にご相談ください。