オンライン買取(宅配買取)と本人確認――古物営業法が求めるルール
- ECビジネス
弁護士: 山﨑慶一朗
不用品をダンボールに詰めて送るだけで売却できる「オンライン買取」は、店舗に足を運ぶ必要がなく、利用者にとって非常に手軽なサービスです。一方、買取業者には、古物営業法により本人確認などの義務が課されており、非対面であるがゆえの特有の注意点があります。
1 古物営業法と本人確認義務
古物営業法第15条は、古物商が中古品を買い受ける際に、相手方の住所・氏名・職業・年齢を確認する義務を定めています。この義務は、盗品の流通を防止し、万一の場合に速やかに被害品を発見するという古物営業法の目的に直結するものです。
対面取引であれば、運転免許証やマイナンバーカードなどの身分証明書を店頭で提示してもらうことで足りますが、オンライン買取のように相手方と直接顔を合わせない「非対面取引」では、古物営業法施行規則第15条3項に定められた特別の方法によらなければなりません。
2 非対面取引で認められている本人確認の方法
古物営業法施行規則では、非対面取引における本人確認方法として、
・買取代金の送金通知書等を『本人限定受取郵便』で相手方に送付し、その到達をもって住所の実在と本人性を確認する
・相手方から異なる本人確認書類2点(運転免許証、マイナンバーカードなど)のコピーを送付してもらったうえで、買取業者から「転送不要」の簡易書留等を相手方の住所に送付し、その到達を確認する
といった複数の方法が定められています。
もっともこれらの方法は、利用者側にかかる手間も多く、オンライン買取サービス全体の利便性の面で課題があるところです。
3 eKYC(オンライン本人確認)と、2回目以降の本人確認
そのため、現在では、買取業者が提供する専用のアプリやウェブサイト上で、利用者に本人確認書類(運転免許証等)の画像と本人の容貌(顔写真)をスマートフォンのカメラで撮影・送信してもらい、その照合によって本人確認を行うといった、オンライン完結型の確認方法(eKYC)が主流となっています。
また、古物営業法施行規則15条3項13号では、同項所定の方法で一度本人確認を完了した相手方に対しては、IDとパスワードを付与し、以後の取引ではそのログインをもって本人確認とすることも認められています。会員制のオンライン買取サービスなどでは、リピーターの利便性を高めるためにこの方法が活用されています。ただし、初回の取引では必ず正規の本人確認が必要です。
4 まとめ
オンライン買取は消費者にとって利便性の高いサービスですが、買取業者にとっては、非対面であるからこそ適法な本人確認手続きを慎重に行うことが求められます。
特に、身分証明書のコピーを受領しただけで本人確認が完了したと誤解しているケースは少なくなく、法令違反のリスクに注意が必要です。
そして、本人確認義務に違反した場合には、6か月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金が科される可能性があります(古物営業法33条1号)。
古物営業法には、本人確認義務以外にも様々な義務が定められていますので、オンライン買取事業における自社の取引フローが法令に適合しているかご不安な場合は、お気軽にご相談ください。